底の変換公式
個人的に思い入れのある公式.
こんにちは,森山です.
底の変換公式とは,数学Ⅱ「指数関数と対数関数」の単元で習う対数に関する公式です.
\(a\) を1ではない正の数,\(b\) を正の数とするとき,
\(a\) を底とする \(b\) の対数 \( \log_{a} b\) は,
1ではない任意の正の数 \(c\) を用いて,\( \dfrac{\log_{c} b}{\log_{c} a}\) と書き直せる,
つまり,\(\log_{a} b = \dfrac{\log_{c} b}{\log_{c} a}\) が成立するという公式になります.
10年以上前,青森高校に通う高校2年生の頃,
初めて底の変換公式を習う授業の際に,
授業担当のT先生から授業中にいきなりチョークを渡されて,
この底の変換公式の証明を要求されたことがあります.
(公式を習う前に,です笑)
当時の森山少年は,
\(\log_{c} a=p\) …①,\(\log_{c} b=q\) …② とおいて,
\(\log_{a}b=\dfrac{q}{p}\) と表せることを導こうとしたのですが,
①②より \(a=c^p\),\(b=c^q\) と表した直後に早速行き詰りました.
3分くらい何もできずに黒板の前で硬直している私は
T先生から席に戻るように促されます.
そして,T先生から「惜しかったね」の一言の直後,
T先生は \( b=c^q=(c^p)^{\frac{q}{p}}=a^{\frac{q}{p}}\) と
私が行き詰った続きをさらさらと書き上げて,
証明を完成させました.
私のこの方針は当時の教科書に載っている証明とは違うものでしたが,
私が辿り着けなかったゴールまでいとも簡単に導いてくれたことへの感動が
大きかったことを覚えています.
そんなわけで,底の変換公式はスムーズに習得することができました.
多分,底の変換公式でもっとも簡単な証明方法は,
対数の定義に基づいて,\(a^{\log_{a} b}=b\) を立式したのち,
この両辺について,底を \(c\) とする対数をとることでしょうね.
T先生からは高1から高3まで,3年間数学を教わりました.
高1の4月から大学受験の最後まで,優しくご指導いただきました.
ここでの「優しい指導」とは,
「甘やかして現実から目を背けさせる指導」ではなく,
「どれだけ不出来な相手にも,厳しく叱りながらで最後まで伴走してくれる指導」
という意味です.
T先生,本当にありがとうございました.
高等部泉中央校 森山 昇平