仙台市および近郊の総合進学塾。信頼と実績のあすなろ学院 宮城の入試事情を知り尽くした講習内容

あすなろ学院 学研グループ トップページへ移動

電話番号 0120-1859-05受付 月曜日から土曜日 10時から18時 (日曜日・祝日は休み)

  • 体験授業・学力診断
  • 資料請求・無料体験・講習会・イベントの申し込み・その他ご相談
  1. 物語と小説~辞書から~

物語と小説~辞書から~

大学病院前教室

火曜日ですお久しぶりです中村です(無季・字余り)

「毎週読んでいます」と、声をかけてくださる生徒みなさんの数が多くなってきました。ありがたいです。「長いけど」という枕詞ももれなくついてきますけど・・・

というわけで、最近は特に前置きが長くなる傾向がありますので、すぐに本題から。

物語と小説の違いについて語り手ぇ(この言葉、よく覚えておいてください。来週のキーワードです)ということで、今回はその2つのジャンルの違いについて、話をしていきます。

みなさんは、小学生までの国語の問題集や塾のテキストには「物語文の読解」とかなんとか書かれていたものが、いつのまにか「小説の読解」にすり変わっていた、なんていう経験はありませんか。そして、どこからどこまでが物語で、どこからどこまでが小説なのか。その2つに明確な区分はあるのかと疑問に思ったことはありませんか。

仮になくても話は続けます。

まず、物語についてですが、そもそも読んで字のごとく、「物を語る」ことから来ています。辞書を引いてみても、

① さまざまな事柄について話すこと。

② 特定の事柄の一部始終や古くから語り伝えられた話をすること。

③ 文学形態の一。作者の見聞や想像をもとに、人物・事件について語る形式で叙述した

散文の文学作品。

(『大辞泉』より 強調は中村)

簡単に言えば、「ただのお話」です。「誰かが何かをして、どうなって、何かがこうして」といったような、連続性を持つ出来事の箇条書きといってもよいです。これらの出来事は時系列でつながります。換言すれば(酸化もするかも)、「そして」でつながる時系列による構成とも言えます。そして(!!!)それは、「ストーリー」と呼ばれることもあります。

それに対して小説ですが、これもまた、辞書を引いてみましょう。

① 文学の一形式。特に近代文学の一ジャンルで、詩や戯曲に対していう。作者の構想の

もとに、作中の人物・事件などを通して、現代の、または理想の人間や社会の姿など

を、興味ある虚構の物語として散文体で表現した作品。

(『大辞泉』より 強調は中村)

こちらは、

① 近代文学の一ジャンルであること

② 作中の人物・事件などを通して、現代の、または理想の人間や社会の姿などを興味あ

る虚構の物語として表現していること

の2点に注目していきましょう。①に関しては、もともと「小説」とは、英単語のnovelの訳語であって、坪内逍遥がその訳語をあてたとかなんとか、知識をひけらかしたい方もいるでしょうが、まあどうでもいいです。しいて言うならば、「近代」文学の一ジャンルであることには留意しておく必要があります。

②が重要で、物語との決定的な違いになります。物語はただ語られるだけであって、出来事の連続に注目されますが、小説では、「作中の人物・事件」などを通して、あるものごとの姿を表現しているというわけで、ただ単に出来事が連続するわけではなく、出来事と出来事のつながりや関係性が重要になってきます。この出来事と出来事のつながりや関係性のことをプロット、と呼ぶこともあります。

辞書的な意味をさらったところで、わかったような、わからないような、結局よくわかりません。さらに語るべきことは多くあるのですが、中村のブログネタ確保の観点から(紙面の都合上)、今回はここまでにしておきます。(心の声が出てしまっていますね…)

今週の話をまとめると、結局こういう感じですね。

「王様が死に、それから王妃が死んだ」といえば、ストーリーですが、「王様が死に、そして悲しみのために王妃が死んだ」といえばプロットです。時間の進行は保たれていますが、ふたつの出来事のあいだに因果関係が影を落とします。あるいはまた、「王妃が死に、誰にもその原因がわからなかったが、やがて王様の死を悲しんで死んだのだとわかった」といえば、これは謎を含んだプロットであり、さらに高度な発展の可能性を秘めたプロットです。それは時間の進行を中断し、許容範囲内でできるだけストーリーから離れます。王妃の死を考えてください。ストーリーなら、「それから?」と聞きます。プロットなら「なぜ?」と聞きます。これがストーリーとプロットの根本的な違いです。

(E.M.フォースター 『小説の諸相』 より)