1. 3周信者。

3周信者。

高等部泉中央教室

気持ちが入ってなきゃ何度やっても無意味、どうも紫竹です。

 

「この問題集を3周すれば大丈夫ですか?」

 

よく生徒から聞かれます。

きっと、期待されている返事は

「そうだね、3周もやれば大丈夫!頑張れ!」

なのでしょうけれど、答えは、

「わかりません」

です。

 

とりあえず自分の話を例にすれば、

私は中学でも高校でも、数学と理科については同じ問題集を2周以上したことがありません。

でもまったく困りませんでしたね。

一方で、英単語帳や文法問題集は3周くらいやったような気がしますが、

何にも身につきませんでした。

 

私自身、受験を終えてから「どうもおかしいな」と思いました。

1回しかやっていないものは身について、

何度もやったものは身についていないのですから。

 

そして一つの結論にたどり着きました。

それをやるときの「気持ちの入れ方」が違ったのです。

 

数学、物理、化学については、スタートが遅かった私にしてみれば

「何度もやっている時間は残されていない」と直感するに十分な量でしたから、

「1回で理解して身につけよう」と決心して取り組んでいました。

 

英語に関しては

「きっと1回では覚えられないから何度か反復しよう」

と決心して取り組みました。

これがダメだったのだと、今や思います。

 

サイヤ人だって瀕死にならなければパワーアップしないのだから、

「どうせ2周目がある」なんて甘ったれた気持ちで取り組む1周目が、

自身を向上させることなどあるはずがないのです。

 

もちろん、いきなりラヴォスと戦えるなどのように、

「強くてニューゲーム」にもメリットはあります。(クロノトリガーなんて知らないですよね…)

ただ、「強くてニューゲーム」で1周目とまったく同じルートをたどるのでは意味がありません。

1周目と違うことをするから面白いのです。

 

例えば確率の最大値問題では、

「P(n+1)/P(n)と1との大小比較」と「P(n+1)-P(n)と0との大小比較」の

2つの処理方法が有名です。

おそらく前者のほうを優先している書籍や問題が多い体感ですが、

数学Bで漸化式を学習すると、後者は階差数列の正負と数列の増減が一致することを利用しているとわかり、

実は高校数学というフィールド内では後者の方が整合性が取れていると気づけます。

 

これは1周目では気づけません。数学AよりBを先に勉強することはまず無いですから。

 

もちろん他にもいくつもあります。

放物線と接線の問題は、数Ⅰの時点では判別式で処理するしかありませんが、

微分を学習すると解き方が変わります。

3次方程式の重解に関する問題も、微分学習後は解法が増えます。

対数を学習する前だと漸化式 a(n+1)=4a(n)^3 , a(1)=1 を解くのは困難です。

漸化式を作って確率や場合の数を求める問題もあります。

これも「強くてニューゲーム」の強みです。

 

何が言いたいかっていうと、何も考えずにただ反復しても意味無いよ、ってことです。

ドラクエならスライムであっても、何体も倒せばレベルが上がりますが、

勉強はそうではありません。

勉強は、頭を使ってするものです。

 

「3周した割に何も書き込まれずきれいなままの問題集」を見ると、本当に悲しくなります。

せめて「もう二度とやらなくてもいい問題に目印をつける」くらいはしてほしいです。

ノートに日付を書くなんてどうでもいいから。

問題集を千切って捨てていくくらいの気概でやってくれよ。

 

あすなろ学院の塾生は、どうか「3周信者」に成り下がらないでください。

本当の意味で勉強と戦ってください。応援しています。

 

今日の音楽は majiko です。

小学生も中学生も、高校生も大学生であっても、この詞を噛み締めたらいいんだと思う。

高等部泉中央校 紫竹